抄録
魚肉の味噌漬けは,伝統的調理・加工食品であり,保存と食味の向上を目的としている。実験では冷凍魚肉のサワラ肉とメロ肉をステーキ状にきり,味噌の割合が低い味噌床Iと味噌の割合が多い味噌床IIの2種類を調整して漬け込んだ。官能検査では,サワラは味噌床I又はIIに浸けた肉で5日間味噌に漬けたものが好まれたが,メロ肉では味噌床IIで,5,7日間漬けたものが好まれた。官能検査の結果好まれたものは,レオメーターで測定した硬さの値が高いものであった。魚を味噌床IIに漬けると筋節の肉は硬くなり,結合組織(筋隔膜)は,温水に溶出しやすくなった。サワラの結合組織のSDS-PAGE分析でコラーゲンの分解が起こっていることが示された。