抄録
シロイヌナズナの根毛はすぐ内側の細胞層である皮層の細胞2つと接する表皮細胞(H細胞)から分化し、皮層細胞1つに接する表皮細胞(N細胞)は非根毛細胞に分化する。これまでの我々の解析より、CAPRICE (CPC)遺伝子はN細胞列で転写され、翻訳された後、H細胞列に移行して根毛細胞への分化を正に制御することが明らかにされている。我々はCPCタンパク質の細胞間移行を制御する分子機構を解明するため、CPC:GFPキメラ遺伝子をCPCプロモーターの下流で発現する系統(pCPC::CPC:GFP)を変異原処理し、GFPの蛍光パターンが変化した株を選抜し、変異株FN20-4を単離した。
pCPC::CPC:GFPではすべての根の表皮細胞の核でGFP蛍光が観察され、すべての表皮細胞が根毛細胞に分化する。FN20-4ではGFP蛍光はH細胞列でほとんど観察されないにもかかわらず、H細胞も根毛細胞に分化した。このことはFN20-4ではCPC:GFP融合タンパク質の細胞間移行は阻害されているが、本来のCPCタンパク質は移行していることを示唆する。FN20-4における変異を解析したところ、染色体の再編成が起きており、少なくとも11の遺伝子が破壊されていた。これらのうちどの遺伝子がCPC:GFP融合タンパク質の細胞間移行に関わっているのか、現在、相補性検定で調べている。