日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第47回日本植物生理学会年会講演要旨集
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乾燥ストレス及び乾燥ストレスからの回復過程で応答するF-box遺伝子の機能解析
*大野 陽子関 原明Kim Jong-Myong黒森 崇梅澤 泰史黒田 浩文松井 南篠崎 一雄
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p. 313

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抄録
近年、SCF複合型ユビキチンリガーゼによるタンパク質分解系が、植物の生命現象の様々なステップにおいて重要な役割を果たしていることが明らかになってきた。F-boxタンパク質は、SCF複合型ユビキチンリガーゼのサブユニットの1つであり、標的タンパク質を認識している。シロイヌナズナゲノムには、700近くのF-boxタンパク質をコードする遺伝子の存在が報告されている。しかしながら、乾燥ストレス及び乾燥ストレスからの回復過程で応答するF-boxタンパク質に関する研究はこれまで報告されていなかった。
最近、我々はマイクロアレイ解析により、乾燥または低温ストレスで発現誘導されるF-boxタンパク質の遺伝子を4個 (SIF1~4; Stress-Inducible F-box Protein)、乾燥または低温ストレスからの回復過程で発現誘導されるF-boxタンパク質の遺伝子を5個 (RIF1~5; Recovery-Inducible F-box Protein)同定した。このうち、SIF1遺伝子について発現・機能解析を起こったところ、SIF1遺伝子は、乾燥、塩、ABA処理で発現誘導される事、及びSIF1遺伝子の破壊株は高浸透圧ストレスに対して高感受性を示すことがわかった。以上の結果より、SIF1遺伝子の破壊株は、シロイヌナズナのストレス耐性獲得にとって不要なタンパク質の分解に機能していることが示唆された。
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© 2006 日本植物生理学会
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