日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第47回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナ花茎重力屈性異常変異体sgr9shoot gravitropism 9)の遺伝学的解析
*中村 守貴森田(寺尾) 美代田坂 昌生
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p. 366

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抄録
高等植物における花茎重力屈性の分子機構を解析するために、我々は花茎重力屈性異常変異体shoot gravitropismsgr)を単離してきた。シロイヌナズナの花茎を水平方向に倒して重力刺激を与えると、約90分で90度の屈曲を示す。これに対し、新規に単離された劣性の変異体であるsgr9変異体は重力刺激後8時間経過しても約50度の屈曲にとどまり、鉛直方向までの屈曲は観察されなかった。また、形態上は側枝が横方向に伸長する以外に目立った異常は認められなかった。シロイヌナズナの花茎においては内皮細胞が重力感受細胞である。内皮細胞内には10~20個程度のアミロプラストがあるが、野生型ではほぼ全てが重力方向に沈降しており、平衡石として機能すると考えられている。一方、sgr9には、野生型と同様に沈降したアミロプラストだけを含む内皮細胞の他に、沈降していないアミロプラストを1~数個含む内皮細胞が相当数存在していた。このようにsgr9は重力屈性反応においても、アミロプラストの沈降においても、これまでに単離、解析されてきたsgr変異体とは性質を異にするものであり、花茎重力屈性のメカニズムを解明する上で非常に興味深い変異体であると考えられる。現在、sgr9変異体の原因遺伝子の同定、および解析を進めている。
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© 2006 日本植物生理学会
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