抄録
新規のAl耐性植物を単離し、その耐性機構を解明することを目的として、16,000株のArabidopsis enhancer tagging lineから耐性株をスクリーニングして#355-2を得た。この耐性株では染色体上へのタグの挿入により、その近傍の2つの遺伝子(F9E105とF9E10.6)の発現量が野生株に比べて高まっていた。形質転換植物での感受性試験の結果、機能が未知であるF9E10.5遺伝子が耐性に関与することが示唆された。また、その発現量はAlストレスによって変動することはなく、根と地上部での発現量に違いはなかった。ところで、#355-2株は野生株に比べて短い根毛(約30 %)を有する上、根からのAl吸収が著しく抑制されていた。さらにコントロール株に比べて#355-2株では、根毛中のAl蓄積量や脂質過酸化物の集積量が低い。また、F9E10.5遺伝子高発現転換株では、短根毛が生じる頻度が高い。さらに3つの短根毛突然変異株についてAl感受性試験を行ったところ、どれもコントロール株に比べて耐性を示した。
これらの結果から、1)根毛も根端同様にAl毒性を受け易い部位である。2)#355-2株ではF9E10.5遺伝子の過剰発現により根毛の生育が抑えられ、その結果、根毛からのAl吸収が抑制されて耐性となると思われる。