日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第47回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナ変異株を用いた硫黄同化酵素ATPスルフリラーゼに関する分子生物学的研究
*東 泰弘渡辺 むつみ野路 征昭斉藤 和季
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p. 457

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抄録
硫黄同化経路の最初のステップを触媒するATPスルフリラーゼ(ATPS)は、硫酸イオンを活性化する唯一の酵素である。シロイヌナズナゲノムには、4つのATPS遺伝子が存在する。シロイヌナズナのATPS活性は、葉緑体と細胞質から検出されている。しかしながら、4つのアイソフォームはすべて葉緑体に局在する事が予想されており、細胞質に局在するATPSアイソフォームの同定及びその存在意義は不明である。本研究では、ATPSアイソフォームの生理学的な役割分担を明確にするために、シロイヌナズナATPS遺伝子の発現解析と、T-DNA挿入変異株を用いた機能解析を行った。
4つのシロイヌナズナATPS遺伝子の発現量をリアルタイムPCR法にて測定した結果、2週齢の地上部におけるATPS123及び4の発現量比は、68、10、8、15%であった。ATPS4の発現量は、2週齢の地上部では低いが、2週齢の根においては53%、6週齢の地上部及び根、鞘においては48%、57%、45%と高い事が分かった。ATPSの硫黄同化における役割は、アイソフォーム間で異なると考えられる。またATPS2ATPS3のT-DNA挿入変異株の地上部についてシステインとグルタチオンの蓄積量を測定した結果、いずれの変異株も野生型株と比較して80%前後に減少していた。現在、ATPS1ATPS4の変異株について解析を行っている。
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© 2006 日本植物生理学会
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