抄録
エチレン生合成の律速段階を担うACC合成酵素(ACS)の発現は、主に転写段階で制御されているが、近年、ACSが翻訳後の制御も受けていることが明らかになった。我々はこれまで、トマト傷害誘導性ACC合成酵素LeACS2のSer-460が翻訳後直ちにリン酸化され、細胞内ではリン酸化型で働いていること、さらにリン酸化型の半減期が非リン酸化型よりも長いことを示した。このことはLeACS2が脱リン酸されると分解されやすくなることを示唆しており、細胞内のLeACS2タンパク質の代謝回転は、脱リン酸化段階において制御されていると考えられる。そこで本研究では、LeACS2の脱リン酸化を担うプロテインフォスファターゼの同定を試みた。LeACS2のSer-460を中心としたビオチン化リン酸化ペプチド(Biotinyl-454KNNLRL(pS)FSKRMYD467-CHO)を合成した。傷害を与えたトマト果肉組織の抽出液とペプチドを反応させ、ペプチドと結合したタンパク質を回収した結果、32 kDaのタンパク質が検出され、そのサイズから、セリン/スレオニンフォスファターゼの触媒サブユニットである可能性が示唆された。このタンパク質は加えるペプチドの量に依存して検出された。我々は、このタンパク質がリン酸化型LeACS2を脱リン酸するプロテインフォスファターゼのサブユニットであると推定し、同定を試みている。