日本トキシコロジー学会学術年会
第32回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: P-46
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一般演題(ポスター)
キニジンの血漿中での動態
*北條 隆男斎藤 敏樹
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抄録

[背景と目的]一般に薬物は血漿タンパクに結合していない遊離型だけが組織間を移行し、薬効や毒性に関与する。したがって、血漿中での薬物の遊離型濃度の把握は非常に重要である。多くの薬物はアルブミンに結合しやすいが、塩基性薬物の中にはalpha-1 acid glycoprotein(AGP)に強く結合するものがある。AGPは容量が小さく感染症や炎症などにより血中濃度が増加することが知られている。よって、その変化がAGPに高親和性の薬物の動態に大きく影響する可能性がある。今回、塩基性薬物としてquinidine(QN)を選択し、数種の動物を用いてQNの血漿中動態と血漿中AGP濃度との関連を調べた。[方法]血漿中に既知の濃度のQNを添加し、限外濾過法により遊離型濃度をHPLCで測定した。結合型濃度は算出した。[結果と考察]Scatchard plotsの結果、どの動物種においても結合型濃度と遊離型に対する結合型の比の関係は2相性を示した。非線形最小二乗法により結合動態パラメーターを求め、血漿中QNの動態をシミュレーションした。その結果、QNの動態は種によって大きく異なることが示された。さらに、AGP濃度を変化させた場合、遊離型濃度の変化も動物種により異なることが示された。よって、AGPに親和性の高い薬物において、動物種間の薬効、毒性を比較する際、血漿中総濃度のみを考慮するとその評価を誤る可能性があることが考えられた。

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© 2005 日本毒性学会
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