抄録
Synechocystis PCC6803 では、FtsHプロテアーゼ(FtsH 2: slr0228) が強光や熱により損傷を受けたD1タンパク質の分解に関与していて、細胞の生育に不可欠なプロテアーゼである。非ストレス条件下 (30℃、光強度10uEm-2s-1) で育った細胞中には一定レベルのFtsHが存在しているが、ストレス条件下では損傷D1タンパク質を処理するためにより多くのFtsHが必要とされる可能性がある。
本研究では、Synechocystis PCC6803の野生株細胞に強光(1,000uEm-2s-1、2時間)・熱(42℃、2時間)ストレスを与えた時にFtsHのタンパク量が増加することを、DS9(タバコのFtsHホモログ)抗体を用いたウエスタン分析により示した。 熱ストレスではFtsHはコントロールに比べて約5%、光ストレスでは約40%増加した。また、細胞を低温(4℃、18時間)に置いた時にも、FtsH量の増加が見られた。FtsHの蓄積はその合成速度と分解速度に依存する。ここではFtsHの光・温度ストレス下での安定性についても調べた。