日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第47回日本植物生理学会年会講演要旨集
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ストレス下におけるAOXの発現・活性化とin vivoの生理活性
*渡辺 千尋寺島 一郎野口 航
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p. 578

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抄録
植物ミトコンドリアの呼吸鎖にあるalternative oxidase (AOX)はユビキノンから電子を受け取り、酸素を還元する酵素である。AOXを介する経路はH+の能動輸送を行わず、ATP産生と共役しないため、エネルギー的には無駄に見えるが、ストレス時など還元力が過剰な時には、その散逸系として働き、活性酸素生成の抑制やTCA回路の活性の維持に寄与していると考えられている。
Arabidopsis thalianaにはAOX1a-1dAOX2が存在し(Thirkettle-Watts et al., 2003)、これらの発現パターンは、器官やストレスの種類によって異なる(Clifton et al., 2005)。ストレス処理によってAOXの発現誘導とAOX活性化が起こることは主に培養細胞を用いた系で明らかとされているが、これらをin vivoの生理的活性と結びつけた研究例はほとんどない。本研究では、A. thalianaにおいて、ストレスによるAOXの発現と活性化が、in vivoAOX活性、呼吸速度、成長にどのように影響を及ぼしているのかを評価する。ストレスとしては、緩やかな低温処理、強光処理を施す。それぞれのAOX mRNA発現とAOX量や活性化状態の変化を解析し、呼吸によるO2消費速度および酸素安定同位体を用いたin vivoAOX活性を測定することで、ストレス下のAOXの役割を考察する。
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© 2006 日本植物生理学会
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