抄録
韓国の国花のムクゲ(Hibiscus syriacus L.)は花の寿命が短く、早朝開花した花は翌日には萎んで落花する。そこで、ムクゲの花の老化機構を明らかにするため、他の植物でこれまでに老化の遅延や促進効果が報告されている様々な薬剤を用いてムクゲの花の老化に及ぼす影響やその原因を調べた。
カーネーションで老化遅延効果が報告されているスクロース、ホウ酸、エタノールなどの処理はムクゲの老化にあまり影響がなかった。しかし、エチレンやエテフォン、ACC処理は、処理時期に関係なく強い老化促進効果を示した。一方、エチレン阻害剤AVGはムクゲに対して強い老化遅延効果を示した。シクロヘキシミド(CHI)、ポリアミン合成阻害剤MGBGおよびテトラアミンのスペルミン(SPM)は、処理時期により効果が異なり、開花前処理では強い老化促進効果があったにもかかわらず、開花後の処理ではその効果の消失あるいは効果の低下が観察された。AVG処理がエチレン生成量を減少させるのに対し、蕾期に処理したCHI、MGBG、SPMは開花前のエチレン生成量を増加させた。また、ムクゲの花は開花前の低濃度エチレン処理でも老化が促進された。さらに、無処理区での開花直前のエチレン発生量とムクゲの花の寿命との間には逆の相関関係が認められた。これらの結果は、開花に至るまでのエチレン生成がムクゲの開花後の老化時期に関係していることを裏付けている。