日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第47回日本植物生理学会年会講演要旨集
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ホウレンソウのセネセンスで活性化されるシステインプロテアーゼの分子クローニング
*田島 貴之天野 豊己藤原 健智塩井 祐三
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p. 680

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抄録
セネセンスは,不要となった葉から窒素源などの再利用可能な成分を回収し,他所への転流を行う生理的プログラムである.タンパク質の分解には様々なプロテアーゼが関わるが,セネセンス時にはシステインプロテアーゼが特に重要な役割を果たしている.
これまでの研究より,蛍光ペプチドN-succinyl-Leu-Tyr-aminomethylcoumarin (Suc-LY-AMC)の分解活性を持つプロテアーゼが,セネセンスの進行に伴って活性が急激に上昇することを示し,ホウレンソウ (Spinacia oleracea L.)を用いて,この酵素の精製と性質決定を行ってきた.本研究では,セネセンスを誘導したホウレンソウから全長cDNAを単離し,アミノ酸配列から推定したプライマーを用いて,RACE法によりクローニングを行った.その結果,シロイヌナズナやカーネーション,トウモロコシ由来のセネセンスと関連したシステインプロテアーゼと高い相同性が示された.また,本酵素のセネセンスにおける遺伝子の発現も検討した.これらの結果から本酵素は,セネセンス時にタンパク質を中心的に行うプロテアーゼの1つである可能性が示された.
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© 2006 日本植物生理学会
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