抄録
シロイヌナズナのMyb様転写因子をコードするPAP1遺伝子の過剰発現変異体においてはアントシアニンおよびフラボノールが特異的に高蓄積しており、野生型株と比較して38遺伝子の発現が上昇している。これら38遺伝子にはフラボノイド生合成に関与する既知遺伝子に加え、機能不明の3つのアシル基転移酵素遺伝子群が含まれていた。本研究では、アントシアニン誘導体化に関与すると推測されるこれらのアシル基転移酵素遺伝子について、その機能を組み換えタンパク質を用いて解析した。
それぞれの遺伝子を大腸菌に導入し、組み換えタンパク質を発現させた。AT1のコードするタンパク質はシアニジン3, 5-ジグルコシドをマロニル化する活性を有していた。本酵素はシアニジン3-グルコシドを基質とせず、シアニジンの5位に付加した糖のマロニル化反応を触媒していることが示唆された。一方、AT2とAT3はマイクロアレイ上同一のプローブで検出されるが、RT-PCRにより確認を行ったところ、両遺伝子の発現がPAP1遺伝子過剰発現体pap1-Dにおいて上昇していることが確認された。また、これら2遺伝子のコードする組み換えタンパク質は共にシアニジン3-グルコシドをクマロイル化する活性を有しており、アントシアニンのクマロイル化に関与していることが示唆された。各遺伝子の植物体内における機能について、欠損変異株を用いて検討を行っている。