抄録
シロイヌナズナの根にはスコポレチンのグルコース配糖体・スコポリンが高レベルで蓄積している.スコポレチンはフェニルプロパノイド経路から生合成,配糖化されると考えられ,シロイヌナズナ中にスコポレチン配糖化酵素の存在が考えられた.
スコポレチン配糖化酵素を同定する目的で,我々は公開されている各種アレイデータをもとに候補遺伝子を絞り込み,glycosyltransferase (UGT) に属する遺伝子を中心に,候補遺伝子T-DNA挿入欠損変異株を取得した.
これら欠損変異株の根をHPLCで定量分析したところ,ugt71c1 (At2g29750欠損株) においてスコポリンおよびスコポレチン内生量の著しい減少が見られた.
RT-PCRにより発現量を調べたところ,UGT71C1は野生株の根で高い発現を示したのに対し,地上部では発現量が低かった.
また大腸菌で発現させたUGT71C1酵素は,スコポレチンを始めとする,7位に水酸基を有するクマリン化合物に対して高い活性を示した.
以上の結果から,シロイヌナズナ根におけるスコポレチン配糖化酵素はUGT71C1であると同定した.