日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第47回日本植物生理学会年会講演要旨集
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ダッタンソバ子葉生育過程における ルチン含量、ルチン分解活性の消長
*鈴木 達郎金 善州瀧川 重信山内 宏昭橋本 直人斎藤 勝一本田 裕六笠 裕治
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p. 697

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抄録
ダッタンソバ幼植物におけるルチン(幼植物の主要なフラボノイド)の生理機能を推測するため、発芽過程の幼植物を材料にルチン含量、ルチン分解酵素(flavonol 3-glucosidase; f3g)活性を測定した。ルチンの器官分布を調査したところ、大部分が子葉に局在していた。子葉のルチンは発芽後徐々に増加し、成熟時には75mg/g.D.W.であった。また、子葉のルチンの大部分は、プロアントシアニジン(縮合性タンニン)同様、表皮に局在していた。この結果から、子葉のルチンはUVスクリーンとしての機能を持つ可能性が考えられる。一方、f3g活性の大部分は甘皮(種皮の内側にある薄い膜状の組織で、発芽後4日目まで子葉に密着している)に存在していた。甘皮のf3g活性は、甘皮が子葉から脱落する発芽4日目まで、高い値を保っていた。また、甘皮脱落直後の子葉の表面には、甘皮から溶出したと考えられる高いf3g活性が存在した。これらの結果から、たとえば発芽時に子葉が傷害を受けた場合、子葉の表面に存在するf3g活性が表皮に局在するルチンを分解することが考えられる。分解産物のケルセチンは、ルチンよりも高い抗酸化能をもち、また、ケルセチンは代謝過程で抗菌物質に変化するという報告もあることから、ダッタンソバ子葉のルチンは、表皮表面に溶出したf3g活性とともに、発芽時の傷害に対する防御機構の一旦を担う可能性が考えられる。
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© 2006 日本植物生理学会
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