日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第47回日本植物生理学会年会講演要旨集
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イネCation/H+対向輸送体ファミリーの発現プロファイルと酵母異種発現系を用いた機能解析
*神谷 岳洋赤堀 太朗前島 正義
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p. 708

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抄録
Cation/H+対向輸送体(CAX)は、プロトン勾配を利用してCa2+やCd2+、Mn2+を輸送する。これまでに、酵母やラン藻、シロイヌナズナ、緑豆、トウモロコシなどから単離されている。しかし、単子葉のモデル植物であるイネCAX(OsCAX)の解析はなされていない。また、遺伝子ファミリー内の機能分担についての情報はない。
始めに、ゲノムおよびEST情報を基に、イネに含まれるすべてのCAX(5個)を単離した。アミノ酸配列を基に系統樹を描くと、OsCAX1aとOsCAX1b、OsCAX1cはCa2+を輸送すると推測されるType IAに、OsCAX2とOsCAX3は重金属を輸送すると推測されるType IBに分類された。次に、リアルタイムPCRにより組織別発現量の絶対定量を行い、分子種間の発現量を比較した。OsCAX1aは、ほぼすべての組織において最も多く発現していたが、OsCAX1bとOsCAX1cの発現量は低く、限られた組織でのみ発現していた。OsCAX2とOsCAX3は、ほぼすべての組織で発現していた。最後に、Ca2+およびMn2+感受性酵母において異種発現を行い、イオン輸送機能を解析した。OsCAX2以外はCa2+耐性を示し、OsCAX1aとOsCAX3はMn2+耐性も示した。以上の事から、OsCAX1aはイネにおける主要なCa2+/H+対向輸送体であることが示された。
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© 2006 日本植物生理学会
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