日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第47回日本植物生理学会年会講演要旨集
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イネCation/H+対向輸送体(OsCAX3)の細胞内局在と発現部位の同定
*大内 雄矢神谷 岳洋芦刈 基行前島 正義
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p. 709

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抄録
Cation/H+対向輸送体(CAX)は膜を挟んで形成されたプロトン濃度勾配を利用して二価の陽イオンを輸送する能動輸送体である。イネには、5つのCAX(OsCAX1a、OsCAX1b、OsCAX1c、OsCAX2、OsCAX3)が存在する。植物のCAXはアミノ酸配列を基に系統樹を描くと2つのサブファミリーに分かれる。OsCAX3は重金属を輸送すると推測されるサブファミリー(Type IB)に属するが、その生理的役割は不明である。また、他の植物種においてもType IBに属する分子の役割はあまり分かっていない。
これまでに、OsCAX3が植物体全体で発現していること、Ca2+、Mn2+感受性酵母変異株を相補することを明らかにした。本研究ではさらなる詳細な発現部位の同定を、プロモーターGUS形質転換体を用いて行った。OsCAX3は、胚盤上皮細胞、アリューロン層、中心柱、根端、頂端、維管束、トライコム等で発現していた。特に、根端や頂端で強い発現が見られた。また、細胞内局在部位を同定するため、GFPとの融合タンパク質(GFP-OsCAX3)をイネカルスのプロトプラストで一過的に発現させたところ、細胞質中を動く直径0.5 μm程度のドット状のオルガネラで蛍光が観察された。現在、詳細な細胞内局在部位の同定を行っており、その結果についても報告する予定である。
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© 2006 日本植物生理学会
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