抄録
H+-ピロホスファターゼ(H+-PPase)はピロリン酸の加水分解を利用してプロトンを輸送するプロトンポンプである。液胞の酸性化を担うI型はよく知られているが、35%程度の相同性しか持たないII型については、GFP融合タンパクによる解析からゴルジ体局在が報告されている(FEBS Lett. 488:29-33, 2001)が,生理的な役割は不明である。本研究ではA.thalianaのII型H+-PPaseであるAtVHP2;1 (AVP2)に焦点をあて、内在性AtVHP2;1の基礎データ収集を目的とした。免疫ブロット法により組織別蓄積量、培養ステージでの蓄積量を解析した。総膜中のII型H+-PPase絶対量はI型酵素の0.5%以下であることが明らかとなった。また、ショ糖密度勾配遠心法によりAtVHP2;1の細胞内局在を分析した。Mg2+の有無によりオルガネラ特異的な密度変化を起こすことを利用し,より詳細な検討を行ったところAtVHP2;1の分布は、トランスゴルジのRGP1、PVC/TGNマーカーであるAtVSR1/AtELP、また液胞膜、細胞膜、ERの各種マーカーとは一致しなかった。完全な一致を見せたマーカーがないので特定には至らなかったが、存在量の少なさも考慮すると、AtVHP2;1はearly endosome等の小型オルガネラの酸性化に寄与していると推定される。