日本放射線影響学会大会講演要旨集
日本放射線影響学会第53回大会
セッションID: PE-14
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E 放射線治療・修飾
X線誘発筋管形成阻害に対する増殖因子の効用
*櫻井 智徳佐々木 竜馬三浦 宰宮越 順二
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キーワード: 筋芽細胞, 筋萎縮, 筋管形成
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抄録
【背景】筋組織のX線に対する感受性は低いが、筋芽細胞にXが照射されると、筋管の形成過程において重要な、筋細胞の融合が遅延または阻害されることが報告されている。我々の研究室では、筋芽細胞の分化誘導過程においてinsulin-like growth factor-1 (IGF-1)を存在させることにより、X線照射によって誘発される筋管形成の遅延または阻害を軽減できることを報告している。本研究では、IGF-1の課題、限界を改善するために、fibroblast growth factor-2 (FGF-2)、hepatocyte growth factor (HGF)を検討した。 【方法】細胞培養・分化誘導:住友ベークライト製24ウェル・セルデスクに、マウス由来筋芽細胞株C2C12を4×104細胞/cm2で播種し、10%FBS含有DMEM培地中で終夜培養後、培地を2%FBS含有DMEM培地に変更し、そのまま6日間培養を継続、筋管組織に分化誘導した。分化誘導の際に、FGF-2 (1, 10, 100 ng/ml)またはHGF (1, 10, 100 ng/ml)を培地に添加した。 X線照射:日立MBR-1520R装置で、150 kV、20 mA、Al 1 mm・Cu 0.1 mmフィルター(1 Gy/分)の条件により、2または4 GyのX線を、分化誘導培地変更直前に照射した。 評価:筋細胞、筋管組織を、抗ミオシン抗体で蛍光免疫染色することによって筋組織に分化した細胞を同定した。 【結果】FGF-2は、低濃度(1 ng/ml)においてのみX線による筋管形成阻害を緩和した。HGFも効果に濃度依存性があるが、FGF-2よりも高濃度まで緩和効果を有していた。4 Gy照射では、両増殖因子とも、X線による筋管形成阻害の緩和効果が見られなかった。今後、X線による筋管形成阻害の機構を解析し、効果の高い方法を検証していく予定である。
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© 2010 日本放射線影響学会
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