抄録
アクアポリンは植物の水輸送を担う膜タンパク質である。我々はすでにイネゲノムデータベースより33種類のアクアポリン遺伝子を同定し、それら遺伝子の器官特異的な発現パターンから、各アクアポリン分子種が特定の器官で重要な役割を担う可能性を示した。本発表ではさらに、個々のアクアポリン機能を解明するため、イネ植物体で発現量の多いOsPIP2;1, OsTIP1;1, OsTIP2;1等の分子種を個別に認識するペプチド抗体を用いて、器官・組織レベルでの発現解析を行った。また個々のアクアポリンの水透過活性についても報告する。
mRNAレベルでの解析結果と同様、タンパクレベルでもOsPIP2;1, OsTIP1;1は葉身・根の両方で発現し、OsTIP2;1は根のみで発現していた。また根の横断切片に対し各アクアポリン抗体を反応させたところ、内皮、表皮、外皮、維管束、皮層等での局在が確認されたが、分子種によって局在パターンが異なることが明らかとなった。また9種類のアクアポリンを個別に発現させた酵母から膜小胞を調製し、光散乱法にて水透過活性を検討したところ、OsPIP2;1, 2;2, 2;3, 2;4, 2;5およびOsTIP1;1, 2;1は明瞭な水透過活性を持つのに対し、OsPIP1;1, 1;2はほとんど水透過活性を示さなかった。これらの結果から各アクアポリン分子種の機能について考察する。