日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第47回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナにおけるgain-of-function型細胞死形質変異体の解析
*加藤 航姚 善国筒井 友和園田 裕市川 尚斉中澤 美紀藤田 美紀関 原明篠崎 一雄松井 南池田 亮山口 淳二
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p. 755

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抄録

植物に見られるストレス応答の一つに過敏感細胞死(HR)がある。HRは生物的ストレスやオゾン暴露などによって誘導されることが知られており、病原体の感染拡大を防ぐ上で重要な働きを担っている。
我々は次世代型アクチベーションタギング法であるFOX Hunting System (2005年度本大会2aA04)を用いてシロイヌナズナのgain-of-funtion型細胞死形質変異体を単離し、HRの誘発に関わる分子機構の解明を試みた。本変異体では抽台前からロゼット葉に茶褐色ないし黒色の斑点を生じ、抽台後は野生型と比較して老化が促進される特徴を持っていた。本変異体で見られるHR様細胞死の誘発に関与する遺伝子のプロファイリングを行うためマイクロアレイ解析等を行った。その結果、キチナーゼおよびPDF1.2等の病原体感染の抵抗性に関わる遺伝子、オゾン暴露時に誘導されるGST等の発現が増大していた。本変異体の原因遺伝子を同定した結果、ERF/AP2ドメインを持つ転写因子であることが明らかとなり、生物的ストレスシグナルの伝達に関わっていると推測された。現在我々はこの遺伝子の発現様式と、本変異体が示すHR様細胞死の原因について検討しており、病原体抵抗性への関与について議論したい。

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© 2006 日本植物生理学会
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