日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第47回日本植物生理学会年会講演要旨集
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ムギネ酸類分泌機構に関わる遺伝子の探索
*長坂 征治高橋 美智子中西 啓仁森 敏西澤 直子
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p. 827

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抄録
オオムギは,鉄欠乏条件下で多量のムギネ酸類を分泌し,その分泌パターンは日周性を示すことが知られている.オオムギのムギネ酸類分泌は,夜明けと共に開始され最大に達した後,数時間の間で減少し,再び基底状態にもどる.鉄欠乏のオオムギの根では,ムギネ酸顆粒と呼ばれる細胞内小胞の数の増加が認められる.さらに,夜明け前には,この顆粒が細胞の表層近くに密集していることから,この顆粒のムギネ酸分泌への関与が示唆されている.現在までに,ムギネ酸類の生合成経路の遺伝子をはじめとする,多くの鉄吸収に関わる遺伝子群が単離,解析されている.しかしながら,ムギネ酸類の分泌に関与する遺伝子については未知のままである.本研究では,25Kのオオムギマイクロアレイを用いて,ムギネ酸類分泌機構に関与する遺伝子の同定を試みた.
オオムギの遺伝子発現を,鉄欠乏誘導性と日周変動の二つの条件について比較した.鉄欠乏誘導性を示した遺伝子の多くは,ムギネ酸類生合成や,前駆体であるメチオニンの供給に関わる既知の遺伝子で占められていた.このことは,このマイクロアレイ解析結果の信頼性が高いことを示していた.また,これらの既知の遺伝子以外に新規の鉄欠乏誘導性遺伝子群が見いだされた.これらの遺伝子群の中にムギネ酸類の分泌機構に関与する遺伝子が含まれていることが考えられるので,それらの遺伝子について機能の解析を進めている.
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© 2006 日本植物生理学会
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