日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第47回日本植物生理学会年会講演要旨集
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葉緑体RNAエディティングには多様な部位特異的因子が関与する
*小林 優介阪本 康司宮本 徹也松尾 充啓山田 恭司杉浦 昌弘若杉 達也小保方 潤一
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p. 848

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抄録
高等植物の葉緑体では、RNAエディティングによって、転写後にRNA上の特定のCがUに変換される。エディティング部位は葉緑体ゲノムあたり数十カ所であるが、それらの周辺には共通の塩基配列が見出されず、個々の部位は、それぞれ個別のシス・トランス因子によって認識されると予想されている。本研究では、タバコ葉緑体から調製したin vitro エディティング系を使い、エディティングに関与するトランス因子について、エディティング部位間の共通性・特異性を検討した。まず、エディティングをうける標的塩基、またはその近傍にあるシス因子に、それぞれ32Pで標識を導入した基質RNAを調製した。次いで、in vitro エディティング系を用いてUVクロスリンク実験を行い、上記の標識ヌクレオチドに結合するタンパク質をSDSPAGEによって解析した。これまでの解析から、psbE-1部位では、標的C塩基とシス因子の双方が、ともに同一の56 kDaタンパク質によって認識されており、さらにpetB-1部位でも、双方が同一の70 kDaのタンパク質によって認識されることが示されていた。今回の研究では、さらに多くの箇所について同様の解析を行ったところ、標的C 塩基に結合するタンパク質の分子量が、rpoA-1部位、rpoB-2部位、rpoB-3部位ですべて異なっていた。現在、これらの部位のシス因子についても結合タンパク質の解析を進めており、それらの結果から、葉緑体RNAエディティングの分子機構について考察したい。
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© 2006 日本植物生理学会
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