抄録
ある植物に固有な遺伝子の機能を解明するために、我々は、シロイヌナズナ遺伝子とは配列の相同性をもたないトマト遺伝子群の発現パターンの解析を行った。我々は、これまでに、トマト矮性品種マイクロトムの葉と果実に由来するcDNAライブラリーから非冗長な10,905個のプローブを搭載したcDNAアレイを設計している。本研究では、このcDNAアレイを用いて、マイクロトムの果実成熟過程における遺伝子発現パターンを調べ、それらの自己組織化マップを作成し、各マップに分類されたプローブ数を求めた。次に、公開されている188,024個のトマトESTのアセンブルから非冗長な遺伝子群(UNIGENE)を構築し、各プローブとの対応付けを行った。そして、これらのUNIGENEのDNA配列を用いて、シロイヌナズナ遺伝子とは配列の相同性をもたない1151個のプローブを選抜した。この選抜したプローブ群の自己組織化マップ上での頻度分布を求め、分割表による独立性の検定を行ったところ、全プローブの分布と1151個のプローブの分布には有意な差は認められなかった。以上の結果から、シロイヌナズナ遺伝子とは配列の相同性をもたないトマト遺伝子群が示す発現パターンは、アレイに搭載している全遺伝子群が示す発現パターンと同様の多様性が認められ、異なる機能をもつ遺伝子から構成されていることが示唆された。