日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第47回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナPSK受容体の同定とその遺伝子破壊株の解析
*松林 嘉克小川 真理山本 珠代坂神 洋次
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p. S021

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抄録
PSKは,細胞培養液中に見出された5アミノ酸分泌型ペプチドであり,in vitroにおける細胞増殖促進や仮道管分化促進,不定胚形成促進などの生理活性を示すが,種々の生理学的解析から,PSKはmitogenや分化因子として特異的に機能するというよりはむしろ,細胞の何らかの基本的なポテンシャルを高め,多面的な生理効果を示している可能性が高い.PSK前駆体遺伝子は,シロイヌナズナに5種類存在しており,培養細胞のみならず植物体全体でかなりのレベルで発現していることから,植物個体の成長過程にも何らかの役割を担っていると考えられる.演者らは,これまでにニンジン培養細胞をモデルとした解析により,PSKは細胞膜に局在するLRR-RKの一種であるPSKR1に結合することを明らかにしてきた.現在そのシロイヌナズナにおけるオルソログAtPSKR1の解析を通して,PSKの植物個体レベルにおける機能の解明を目指している.AtPSKR1はPSKに対し7.7 nM の結合定数を示し,やはり培養細胞だけでなく植物体全体で発現している.また, AtPSKR1遺伝子の破壊株では,膜画分のPSK結合活性が顕著に低下していることが確かめられた.本シンポジウムでは,この遺伝子破壊株の表現型から推定されるPSKの本質的機能について考察したい.
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© 2006 日本植物生理学会
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