日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナのゲノム情報からアブラナ科作物の病害応答を診断する
*鳴坂 義弘鳴坂 真理安部 洋畠山 勝徳宇野 久仁子白石 友紀小林 正智
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p. S0064

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抄録
モデル実験植物で得られた有用知見の作物への応用展開を進める上で、シロイヌナズナと同じアブラナ科に属するハクサイは重要な対象作物である。当研究グループでは、ハクサイの遺伝子ライブラリーを作製して遺伝子資源の確保とその利用技術の開発を試みている。まず、ハクサイESTライブラリーおよび完全長cDNAライブラリーを作製し、ハクサイマイクロアレイを構築した。これまでにシロイヌナズナ完全長cDNAマイクロアレイを用いて病害および環境ストレス下におけるトランスクリプトーム解析を遂行し、比較ゲノム解析の基盤となるデータを蓄積している。そこで、シロイヌナズナおよびハクサイマイクロアレイを用いて病原糸状菌アブラナ科野菜類炭そ病菌の感染に対する宿主遺伝子の発現変動を解析した。得られた発現プロファイルを解析した結果、本菌の攻撃に対するシロイヌナズナおよびハクサイの初期防御応答にはサリチル酸シグナル伝達経路の活性化が重要であることが推察された。本結果をもとに、あらかじめハクサイにサリチル酸経路を活性化する薬剤を処理しておくと、その後の炭そ病菌の感染を防ぐことができた。本発表では、シロイヌナズナ-ハクサイ間のゲノム情報の比較・利用による植物免疫学研究の今後の展開について報告する。
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© 2008 日本植物生理学会
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