抄録
光合成生物においてレドックスセンシングは、さまざまな環境変化やストレスに応答して光合成などの機能順化に欠かせないしくみである。われわれはシアノバクテリアのゲノム機能解析、マイクロアレイ解析などからPrxR, SufR, IscR, Slr1161などのレドックスまたは活性酸素のセンサーを役割を明らかにしてきた。PrxRは活性酸素に応答して強力なペルオキシレドキシン遺伝子の発現を誘導するリプレッサーである。このPrxRには多くの細菌に保存された4個のシステイン残基のモチーフがあり、金属分析は亜鉛と鉄の結合を示した。これらのどのシステイン残基に変異を導入しても、鉄の結合や活性酸素の応答性が失われた。また、システイン残基の酸化還元だけでなく、鉄の酸化還元がセンシングに重要であった。このことは、PrxRの鉄システイン残基複合体が新規のレドックスセンサーの本体であることを示している。SufRは保存されたシステイン残基のモチーフをもち、鉄硫黄クラスタに固有の吸収スペクトルを示した。これらのセンサータンパク質の解析からレドックスや活性酸素などのセンシングのしくみについて議論する。