日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナの新規ブロモデオキシウリジン耐性突然変異体の単離と解析
*今村 建朗杉山 宗隆
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p. 002

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抄録
チミジンの類似物質であるブロモデオキシウリジン(BrdU)は、シロイヌナズナのシュート再生系に様々な影響を与える。カルス誘導段階でBrdUを投与した場合、低濃度ではシュート再生の促進、高濃度では胚軸脱分化の阻害が見られる。bro1bro2は、このようなBrdUの脱分化阻害に対する耐性を指標に単離した変異体であるが、BrdUの影響を受ける他の様々な事象についてもBrdU耐性(ないし低感受性)を示す。また、チミジル酸合成酵素阻害剤として用いられるチミジン類似物質のフルオロデオキシウリジン(FdU)に対しては、bro2の芽生えの成長は抵抗性を示したが、bro1は野生型と同じく感受性であった。これまでの解析から、bro1ではRNA結合タンパク質UBA1aの遺伝子に、bro2ではチミジンキナーゼ遺伝子に、それぞれBrdU耐性と連鎖する変異が見出されている。これを考え合わせると、FdUに対する感受性の差は、bro1bro2のBrdU耐性機構の違いを反映しているものと思われる。
今回、胚軸脱分化を指標形質とするスクリーニングを改めて行い、明瞭なBrdU耐性を示す新規変異体を6系統単離した。現在これらの変異体について、bro1bro2と比較しつつ、FdU感受性等に着目した特性解析を行っている。本発表では、こうした結果を含め、これまでに単離したBrdU耐性変異体のラインナップを紹介したい。
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© 2007 日本植物生理学会
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