日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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WUSCHEL遺伝子の機能ドメインの解析
*池田 美穂高木 優
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p. 016

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抄録

WUSCHELは、茎頂分裂組織において細胞の未分化性の維持に関与するのみではなく、発芽時における生長相の転換や、植物ホルモンのシグナル伝達系にも関与する多面的な遺伝子である。また、WUSCHELは、サイトカイニンシグナル伝達系の遺伝子ARRに対しては、リプレッサーとして作用し、花の形態形成の遺伝子AGAMOUSに対しては、アクティベーターとして働くことが報告されており、その遺伝子構造と機能メカニズムは非常に興味深い。
35S-GAL4BD-TATA-LUCを用いたトランジェントアッセイの結果、WUSCHELは、このレポーター遺伝子に対してはリプレッサーとして働き、そのリプレッション活性はC末端に位置する二つのドメインに由来することがわかった。最もC端に位置するドメインは、既にリプレッションドメインとして報告のあるEAR motifであり、もう一つのドメインはWUSCHELとその近縁の遺伝子に保存されている領域であった。二つのドメインをそれぞれ破壊し、恒常的に高発現させた植物体の形態観察、および、RT-PCRの結果から、各々のドメインは、それぞれ異なる機能を持ち、発芽時の生長相の転換とサイトカイニンシグナル伝達系については主としてEAR motif以外の領域が機能していることが示唆された。

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© 2007 日本植物生理学会
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