日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナ散房花序様変異体corymbosa1の分子遺伝学的解析
*山口 暢俊鈴木 光宏深城 英弘森田(寺尾) 美代田坂 昌生米田 好文
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p. 021

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抄録

実験室野生型系統として用いられているLandsberg erecta株は花序先端に花が密集した散房花序といわれる形態と近似しており、このような散房花序様の表現型を示すのはerecta変異によると考えられる。花序形態形成機構を明らかにするために、散房花序様変異体corymbosa1 (crm1)に着目した。マッピングとアレリズムテストの結果、crm1変異体の原因遺伝子は正常なオーキシンの極性輸送に必要であるBIG遺伝子であることがわかった。pCRM1::GUSin situハイブリダイゼーションを用いた遺伝子発現解析の結果、CRM1/BIG遺伝子は花序分裂組織と花芽分裂組織で強く発現していた。crm1/big変異体のアリル変異系統である複数のreduced lateral root formation (rlr)変異体の表現型の解析の結果、rlr変異体の表現型は大きく2つに分けられた。さらにシーケンスによる変異部位の特定、およびCRM1/BIG遺伝子の発現解析の結果、rlr変異体は部分的に機能をもつ変異体であり、推定CRM1/BIGタンパク質の大きさに応じて変異体の表現型は交互に変化することがわかった。crm1/rlr変異体では散房花序様の表現型の強さの度合いに対応して、PINFORMED1遺伝子の発現量が増加していたことから、CRM1/BIG遺伝子はオーキシンの輸送を介して花序の発達を制御していることが示唆された。現在、crm1変異体において花序の発達に必要である遺伝子の発現解析を行っている。

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© 2007 日本植物生理学会
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