日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナERECTA遺伝子の発現調節機構に関する分子遺伝学的解析
*古水 千尋鈴木 光宏米田 好文
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p. 020

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抄録

シロイヌナズナのERECTA (ER) 遺伝子は受容体型プロテインキナーゼ様タンパク質をコードし、植物体の地上部の形態形成において重要な役割を担う。実験系統の一つとして利用されているLandsberg erectaer変異を内包していることはよく知られているが、ERの機能に関する知見は非常に限られているのが現状である。
そこでERの機能に関する新たな知見を得るために、ERの発現調節機構の解析を行った。ERのプロモーター配列にGUS遺伝子を融合したキメラ遺伝子を発現する形質転換植物を変異源処理してGUSレポーターの染色パターンが変化する変異体を選抜したところ、GUS染色が弱くなる変異体が単離された。その中の一系統ではERの転写産物量が顕著に減少しており、この変異系統をreduced expression of erecta1 (rxe1) と命名した。
ERはそのパラログ遺伝子であるERECTA-LIKE1 (ERL1), ERL2と共に表皮細胞の分化に関与することが報告されている。これら3つのERファミリー遺伝子はほぼ同様の部位で発現しているが、rxe1変異体ではERの発現のみが変化しており、ERファミリー遺伝子間のプロモーター配列の違いが反映されている可能性がある。また、rxe1変異体の表現型は植物体の地上部で多面的に観察されるが、その中にはer変異体は示さない表現型が含まれ、ER以外にもRXE1遺伝子によって発現が制御される遺伝子があることが示唆された。rxe1変異体の分子遺伝学的解析の現状と展望に関して報告する。

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© 2007 日本植物生理学会
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