日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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ストレプトカルプス属ロゼット種のユニークな葉形成過程の発生学的解析
*西井 かなえMoeller Michael長田 敏行
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p. 023

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抄録

ストレプトカルプス属(イワタバコ科)には、茎頂分裂組織(SAM)を持たないのに葉を形成するというユニークな特徴を持つ植物群がある。私たちは、この体制の機構を進化発生学的側面から解明することを試み、より広い立場からの高等植物の葉の形態形成を考えようとしている。
まず、これまで明瞭でなかった細胞分裂活性領域の特定のために、ロゼット種のStreptocarpus rexiiを材料として、組織にBrdUを取り込ませ、その領域を三次元構築であらわし、併せて、Groove merietem (GM)と定義される領域とも対比させて、形態形成の細胞学的基礎を明らかにした。この情報の下に、GMとSAM機能を比較するために、SAM機能に関与するクラス1KNOX遺伝子に属するKNAT1, MYB様転写因子のPHAN遺伝子をこの植物から単離して、その発現の動態をIn situ hybridization (ISH)で調べた。これらの結果から、ストレプトカルプスの示す、ユニークな形態形成が、通常のSAMを有する植物とは異なるが、類似性もあることを示した。これらの結果について、進化発生学的見地から考察を加える。

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© 2007 日本植物生理学会
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