日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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クチクラワックスの合成に関わるペルオキシソーム機能
*神垣 あかね林 誠西村 幹夫
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p. 033

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抄録
植物の成育過程におけるペルオキシソーム機能転換とそれに伴う内部タンパク質組成の変化は植物ペルオキシソームに独特な特徴である。植物のペルオキシソームはその機能からグリオキシソーム、緑葉ペルオキシソーム、非特殊化ペルオキシソームの3種類に分類されてきた。最近では新たに子葉や根でもペルオキシソームは特異的機能を果たしていることが示唆された。ペルオキシソーム形成因子(ペルオキシン:PEX)は酵母を中心とした遺伝学的解析から同定され、ペルオキシソームマトリックスタンパク質の輸送、ペルオキシソームの増殖、分裂、膜形成といったペルオキシソーム形成機能に関わることが示唆されている。本研究では、シロイヌナズナゲノム上で予測されるPEX遺伝子をRNAi法によって発現抑制し、これらの遺伝子がペルオキシソーム形成に直接関与していることを明らかにした。また、ペルオキシソームマトリックスタンパク質輸送に関与する因子に焦点を当て解析を行った結果、PEX10発現抑制株では葉の部分的黄化や近接器官の融合がみられ、野生型の植物だけでなく、他のPEX発現抑制株と比較しても表現型が著しく異なっていた。PEX10発現抑制株でみられる表現型はクチクラワックスの欠損変異体に特徴的に見られる。現在、この表現型の原因を解析しており、その結果から予測されるペルオキシソーム機能について検討する。
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© 2007 日本植物生理学会
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