日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
会議情報

TRP代謝経路の選択的ラベル化によるIAA生合成経路の解析
*笠原 博幸軸丸 裕介神谷 勇治
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 046

詳細
抄録
植物のIAA生合成経路にはTRP依存型と非依存型が存在し、またシロイヌナズナのTRP依存型経路には少なくともインドールグルコシノレート経路とトリプタミン経路が含まれることが報告されてきた。これら重複したIAA生合成経路がそれぞれ、いつ、どこで、どの程度機能しているのかを解明することは長年の課題である。本研究では、シロイヌナズナのTRP要求性変異体を用いてTRP代謝経路の選択的ラベル化システムを構築し、各経路のIAA生合成に対する寄与を評価した。
これまでに数種のTRP要求性変異体がシロイヌナズナで得られているが、表現型の差からこれらのTRP生合成経路は異なるレベルで遮断されていると推測された。今回、TRPを含む液体培地でこれら変異体の表現型の回復実験を行った結果、trp1-1trp3-1変異体でTRP要求性に大きな差があることを確認した。我々はこのTRP要求性の差を利用し、[15N2]TRP によってTRP依存型経路の中間体を高効率でラベル化するシステムと、トリプタミン経路の中間体のみ選択的にラベル化するシステムを構築した。LC-MS/MSおよびGC-MSを用いて各経路のモデル中間体とIAAのラベル化率を比較した結果、個体レベルのIAA生合成ではTRP依存型経路が中程度寄与し、TRP非依存型経路からも相当量のIAAが合成されていることが示唆された。また、個体レベルではトリプタミン経路の寄与が低いことが示され、さらに器官・組織レベルでの解析を進めている。
著者関連情報
© 2007 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top