日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナ モリブデントランスポーターMOT2の機能解析
*戸松 創藤原 徹
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p. 050

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抄録
モリブデン(Mo)は植物の窒素同化・硫黄代謝・ABA合成に関与する。前回の年会でシロイヌナズナのMoトランスポーターMOT1について報告した。今回はMOT1相同遺伝子であるMOT2について報告する。
MOT2はMOT1とアミノ酸レベルで51%同一で、82%相同であり、イントロンが無いことも共通している。まず、170 nMのMoを含む寒天培地で14日間栽培した植物の根と葉から抽出したRNAについてRT-PCRを行ったところ、地上部と根の双方でMOT1の約2倍のMOT2 mRNAの蓄積が検出された。mRNAの蓄積量は地上部と根で差がなかった。また、通常の培地(Mo 170 nM)と欠乏条件下(Moを加えない培地)で栽培した野生型株の根でも葉でもMOT2 mRNA蓄積量に差は認められなかった。MOT2にT-DNAが挿入された変異株を1系統入手してホモ系統の生育を調べたところ、通常の培地では野生型株と同程度に生育したが、Mo欠乏条件下において変異株の生育は抑制された。Mo欠乏条件下における生育は培地にアンモニア態の窒素を添加することで部分的に回復した。また、地上部のMo濃度は野生型株よりも低下していた。MOT2を酵母で発現させたところ、菌体内Mo濃度の3倍の上昇が見られた。これらの結果は、MOT2がMoトランスポーターであり、根から地上部へのMo輸送に関与していることを示唆している。
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© 2007 日本植物生理学会
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