抄録
シロイヌナズナBOR1は排出型ホウ酸トランスポーターであり、低ホウ素条件下でのホウ素の地上部への効率的な輸送に必須である。CaMV 35S RNAプロモーター(P35S)制御下でBOR1-GFPを発現する形質転換植物の根端において、BOR1-GFPはホウ素欠乏条件下では細胞膜に強く蓄積し、高濃度のホウ素供給後にエンドサイトーシス経路によって分解された(Takano et al., 2005)。
一方、シロイヌナズナBOR4も排出型ホウ酸トランスポーターであり、ホウ素過剰条件下でホウ素の植物体外への排出に関わっていることが示唆された(三輪京子ら 植物生理学会本大会)。P35S制御下でBOR4-GFPを発現する形質転換植物の根端においては、BOR4-GFPはホウ素条件によらず細胞膜に局在した。
本研究ではさらに、BOR1とBOR4の細胞内輸送の差異を決定するドメインやモチーフの同定を目指し、BOR1とBOR4の間のドメインスワッピングと、BOR1におけるエンドサイトーシスシグナルと推測されるモチーフへの変異導入を行った。これら改変型ホウ酸トランスポーターのホウ素条件に応答した細胞内局在を観察した結果を報告し、ホウ酸トランスポーターの細胞内輸送メカニズムについて議論したい。