日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナNIP6;1のホウ素の地上部への輸送における役割
*田中 真幸高野 順平Wallace S. IanDaniel M. Roberts藤原 徹
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p. 051

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抄録
昨年までにNIP遺伝子の一つであるNIP5;1がホウ素欠乏条件において根で強く発現誘導され、低ホウ素条件でのホウ素の効率的な輸送に必須であることを報告した (Takano et., al, 2006)。今回は、NIP5;1遺伝子に最も相同性の高い遺伝子、NIP6;1について研究を行ったので報告する。アフリカツメガエルの卵母細胞の発現系を用いてホウ酸の輸送能についての解析を行ったところ、NIP6;1にホウ酸輸送活性が認められた。NIP6;1はシロイヌナズナにおいて細胞膜に局在し、地上部のなかでもとくに節、葉脈に存在していた。根と地上部でmRNAが検出されたが、地上部の方が発現が強かった。また、ホウ素栄養による発現誘導は地上部で認められた。複数の独立に得られたNIP6;1遺伝子破壊株をホウ素欠乏条件で栽培したところ、葉の一部の生育が異常になった。この異常は通常のホウ素条件で栽培した場合には見られなかった。これらのことから、NIP6;1 はNIP5;1同様ホウ酸チャンネルであり、ホウ素欠乏条件での植物の正常な生育に必須であることが明らかになったとともに、ホウ素輸送における役割は両者で異なっていることも示された。
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© 2007 日本植物生理学会
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