日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロバナルーピン由来の根分泌性酸性ホスファターゼ遺伝子導入タバコにおけるリン吸収能力
*丸山 隼人田中 美穂山村 卓也信濃 卓郎伊藤 進和崎 淳大崎 満
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p. 056

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抄録
リン鉱石資源の枯渇が問題になる一方で、土壌中には有機態リンが高い割合で未利用のまま存在する。植物は有機態リンを直接吸収することはできないが、根圏にホスファターゼを分泌することで有機態リンを分解し、リン獲得効率を高めている。特にシロバナルーピンはその分泌能力が高く、乏しいリン栄養条件でも比較的良好に育つことが知られている。本研究では、シロバナルーピンから単離された、根分泌性酸性ホスファターゼ遺伝子LASAP2を導入したタバコを作成し、LASAP2遺伝子導入によるリン吸収能力の向上効果を検証した。
唯一のリン供給源としてフィチン酸を与えたフィチン酸施与区、無機リン酸を施与した+P区、リン非施与の-P区を設け、無菌的に野生株とLASAP2導入株を砂耕栽培した場合、フィチン酸施与区においてLASAP2導入株は生育量、リン吸収量ともに野生株と比べて高かった。そこで、実際の土壌での効果を検討するために北海道大学3要素区試験圃場の-P区の土壌を用いてフィチン酸施与区、+P区、-P区を設けてポット栽培を行った。その結果、-P区とフィチン酸施与区においてLASAP2導入株の生育およびリン吸収量は野生株よりも高かった。以上の結果から、LASAP2の導入がフィチン酸を含めた土壌中に存在する有機態リン由来のリン吸収能力の向上に効果があることが示唆された。
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© 2007 日本植物生理学会
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