日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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Jacalin related lectinとGDSL lipase like proteinはERボディ局在β-グルコシダーゼ複合体のサイズを制御する
*永野 惇深尾 陽一朗西村 いくこ
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p. 060

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抄録
ERボディはシロイヌナズナに存在する機能未知のオルガネラであり.傷害によって誘導されることから,生体防御に関与することが示唆されている.ERボディには,β-グルコシダーゼのひとつPYK10が局在している.PYK10は病傷害などによって,細胞内構造が破壊された時,活性を保った巨大な複合体(1μm~70μm以上)を形成する.我々は,ERボディに関係するタンパク質を以下の3つのアプローチで探索した.1,ERボディを欠失するnai1-1変異体のトランスクリプトーム解析.2,公開されているDNAマイクロアレイデータの再解析による,PYK10と発現相関を示す遺伝子の探索.3,活性型PYK10複合体の単離精製と,その構成タンパク質の同定.以上の解析の結果,複数のアプローチで共通して見出された7つのJacalin like lectin (JAL)と,3つのGDSL lipase like protein (GLL)に着目して解析を進めた.それぞれの遺伝子のノックアウト変異体を単離し,PYK10の活性を測定したところ,野生型と差が見られなかった.しかし,活性型PYK10複合体のサイズは,野生型より大きくなっていた.また,JALはサイトゾル,GLLは細胞外に局在すると予想されることから,JAL,GLLは組織が壊れたあとPYK10と相互作用し,活性型PYK10複合体の大きさを制御していることが示唆された.
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© 2007 日本植物生理学会
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