日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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カツラ(Cercidiphyllum japonicum)カルス培養系によるマルトール生成の制御
姫野 亜里紗*荻田 信二郎加藤 康夫
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p. 069

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抄録

マルトール(3-hydroxy-2-methyl-4-pyrone)は、植物由来の香気成分であり、香料や食品添加物として広く用いられている。最近では、マルトール-金属錯体が糖尿病の治療薬として有効であることが報告され、医薬の分野で注目されている。しかし、植物内におけるマルトール生成のメカニズムや生理学的役割については解明されていない。本研究では、紅葉に伴って葉に大量のマルトールを生成する、落葉広葉樹であるカツラ(Cercidiphyllum japonicum)を実験材料に用いて、マルトール生成を制御することを目的とした。
まず、カツラの紅葉から落葉時期にかけて経時的に葉を採取し、マルトールおよび植物内での貯蔵体と推定されるマルトールグルコシドの含量をHPLCによって分析した。併せて、糖およびアミノ酸含量についても調べた。次にin vitroでのマルトール生成系を構築するため、カルス培養法の確立に取り組んだ。カツラの種子を滅菌し、滅菌水を含ませた脱脂綿上で2週間ほど培養することにより、芽生えが得られた。チジアズロンを2μMの濃度で添加した改変1/2MS培地で芽生えを培養することにより、胚軸や子葉からカルスが誘導できた。各種ホルモン、光、温度条件を変化させてカルスを培養し、カルスの緑色化、赤色化および褐色化条件を明らかにすると共に、マルトール類や糖、アミノ酸含量の変動性を考察した。

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© 2007 日本植物生理学会
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