日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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変異ニンジン懸濁培養細胞株におけるアントシアニンアシル基転移酵素の特性
奥田 裕樹阿部 裕野田 尚信鈴木 正彦寺坂 和祥水上 元石川 彩小林 信之北村 美江佐々木 伸大*小関 良宏
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p. 070

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抄録

アントシアニンアシル基転移酵素 (AAT) は、これまでに、アシルCo-Aをアシル基供与体とするタイプの酵素についての研究が進められ、その酵素および遺伝子の単離がなされ、詳細が明らかにされてきた。さらに転移されるアシル基には、脂肪族性のものと芳香族性のものがあり、近年、芳香族性のアシル基の転移において、アシルグルコースをアシル基供与体とする AAT 活性 (AGDAT 活性) が見いだされ、それに対する cDNA がチョウマメから単離された。当研究室で培養している変異ニンジン懸濁培養細胞株は、ニンジン培養細胞から恒常的にアントシアニン生産を行う細胞塊を選抜することによって樹立された培養細胞系であり、そこに含まれる主要なアントシアニンは cyanidin 3-[Xyl-(sinapoyl-Glc)-Gal] である。その粗酵素液を用いたアシル化反応の解析の結果から桂皮酸アシルグルコースを供与体とする AGDAT 活性を有することが示唆された。そこで、その生化学的な性質を解明するために、アシル基供与体としてセンニチコウ由来配糖化酵素の組換え酵素を用いて様々な種類の桂皮酸誘導体アシルグルコースを合成し調製した。一方、アシル基受容体はこの変異株細胞より抽出した色素成分の主要色素を分離・精製した後、脱アシル化したものを調整した。これら調製した基質を用いて、桂皮酸誘導体アシルグルコースを基質とする AGDAT の基質特異性について検討した。

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© 2007 日本植物生理学会
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