日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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植物葉緑体SIG1の光合成装置PSI遺伝子の転写調節における機能的役割
*戸澤 譲寺石 政義佐々木 忠将園池 公毅
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p. 073

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抄録
植物の葉緑体ゲノム上の光合成関連遺伝子は、主にPEPと呼ばれる原核生物型酵素により発現調節を受けており、シグマ因子が転写開始プロモーター認識に機能している。イネ、シロイヌナズナにおいては、核ゲノム上の6種類のSIG遺伝子がシグマ因子をコードしていると考えられ、SIG2、SIG5およびSIG6に関しては既にシロイヌナズナ変異株を用いた解析により、それぞれが転写調節を行なう遺伝子の同定解析が進んでいる。本講演では、機能が不明であったSIG1について、イネのトランスポゾン挿入変異株2系統を用いた解析結果を紹介する。まず、SIG1欠損変異株の表現型として、野生型と比較して3割のクロロフィル含有量の減少、PSIの光反応活性の低下が観察された。続いて、網羅的な葉緑体遺伝子の転写解析の結果、主にPSIの主要な構成因子をコードするpsaAオペロンの転写レベルの減少が見出され、該当するチラコイド膜上のタンパク質も実際に減少していることも確認された。実際に我々はこれらの結果より、SIG1は展開葉の葉緑体において光合成装置PSIの機能を維持することが主な機能であると結論付けた。
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© 2007 日本植物生理学会
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