抄録
単細胞ラン藻は、窒素固定を夜間に行うことで、光合成により発生する酸素による窒素固定酵素の失活を防いでいる。しかし、連続明(CL)に順応した細胞では、窒素固定活性と光合成活性が同時に検出される。我々は、海産単細胞ラン藻Gloeothece sp. 68DGAを細胞の生理状態を長期間にわたって一定に保つことができる連続培養系を用いて培養した。12時間明期12時間暗期の明暗周期(12L/12D)からCLへの順応過程における光合成による酸素発生速度と窒素固定活性の変動と、免疫細胞化学的検出法による細胞レベルでの窒素固定酵素の消長を解析した。本株は、12L/12Dでは暗期にのみ窒素固定酵素を合成し、窒素固定を行った。CL移行後一回目の主観的暗期では、70%以上の細胞が窒素固定酵素を合成しているにもかかわらず、酸素発生がある条件では窒素固定を行わなかった。しかし、約9世代後には常に87%以上の細胞が窒素固定酵素を合成し、周期性は残るものの常に窒素固定を行うようなった。約30世代培養した細胞では、常に約92%の細胞が窒素固定酵素を発現し、窒素固定活性と酸素発生がほぼ一定の値を示した。CLに順応した細胞を12L/12Dへ戻すと、約60%の細胞に窒素固定酵素が存在するにもかかわらず、窒素固定活性は2回目の暗期以降は周期的な変動を回復した。