抄録
我々は、大気中窒素酸化物(NOx: 実質的に一酸化窒素NOと二酸化窒素NO2とからなる)は、植物の成長、栄養素の取り込み、代謝を包括的全般的に活性化する(「バイタリゼーション作用」)ことをNicotiana plumbaginifolia1)およびArabidopsis thaliana2)について報告した。本研究では、さらにレタス(Lactuca sativa L.), ヒマワリ(Helinthus annuus L.), キュウリ(Cucumis sativus L.) およびカボチャ(Cucurbita moschata Duch. ex Lam.)を対象として、この作用の植物種や器官における共通性と特異性の解明を目的とし、(i) 「バイタリゼーション作用」を発揮する最適NO2濃度は種依存的か、 (ii) 器官特異性は存在するか、 (iii) 栄養素の取込はバイオマス増加に比例するか(栄養素の恒常性は維持されるか)および(iv) NO2由来の窒素(NO2-N)の全窒素への寄与は「無視しうる程度」か、について調査した。その結果、答えはほぼすべてYESであった。
1) Takahashi, M. et al. New Phytol. 168: 149-154(2005)
2) 高橋美佐ら、昨年度本年会