抄録
イネのサイトゾル型グルタミン合成酵素(GS1)遺伝子は、OsGS1;1、OsGS1;2、OsGS1;3の3種類があり、小遺伝子族を形成している。本研究ではイネの発芽過程における3種のGS1の生理機能の解明をめざし、各OsGS1の発現解析を行った。
発芽過程のGSタンパク質蓄積量を、吸水前および30℃吸水後0、12、24、48、72時間後について解析した。その結果、GS1は供試した全てのサンプルで検出された。一方、プラスチド型のGS2は検出されなかった。GS活性を測定した結果、吸水、発芽に伴って1粒あたりのGS活性が増加していた。活性の挙動はタンパク質蓄積量の増加と一致しており、1粒あたりのGS1含量が増加したことにより活性が増加していた。3種のGS1のそれぞれの発現組織を知るために、各OsGS1のプロモーター下流にGUSを連結した融合遺伝子を導入した形質転換イネを作出し、発芽過程における各OsGS1のプロモーター活性の分布を解析した。吸水前および吸水後0、12、24、48、72時間後について観察した結果、OsGS1;1は主に72時間後のshootで、OsGS1;2は主に胚盤で、OsGS1;3は主に糊粉層で発現が観察された。各GS1が異なる組織で発現しており、異なる機能を担っている可能性が考えられる。現在、各OsGS1 mRNAの蓄積量の解析を進めている。