日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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イネのACT domain repeat protein 9 タンパク質の器官、組織および細胞内局在性の解析
*工藤 徹河合 亜希子山谷 知行早川 俊彦
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p. 094

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抄録
高等植物において、グルタミン(Gln)をシグナルとし、窒素代謝系の制御に関与する情報伝達系の存在が示唆されているが、その分子実体は不明である。演者らは、イネのGln情報伝達系の分子実体を明らかとするため、Glnセンサータンパク質の候補であるACT domain repeat protein(ACR)の機能解析を進めている。イネのACRをコードする遺伝子は、OsACR1からOsACR9まで9つ推定されている。このうち、OsACR9は、葉身において非常に若い時期に転写産物の蓄積が顕著であり、器官の発達・成熟に必要な窒素の代謝制御に関与している可能性が考えられる。そこで、ACR9タンパク質を特異的に認識する抗体を作製し、ACR9の蓄積様式をイムノブロット法により解析した。その結果、ACR9は、葉身では転写産物と同様に若い時期に特に多く蓄積していた。また、登熟過程の頴果では、開花日から開花後25日目までの全ての時期で同程度蓄積していた。これらの結果は、ACR9が、器官の発達・成熟に関与している可能性を支持するものと考えられる。一方、根では、窒素欠乏時でもACR9は蓄積していたが、NH4+の投与により増加した。また、ACR9の組織内や細胞内における局在性の解析結果もあわせて報告する予定である。
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© 2007 日本植物生理学会
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