日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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チオレドキシン標的候補として細胞膜アンカー型信号伝達分子を同定した
*中西 華代佐塚 隆志前島 正義久堀 徹
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p. 100

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抄録
[背景] 生体内で還元調節を仲介する分子の一つであるチオレドキシンは、分子量12,000の小さなタンパク質で、他のタンパク質のジスルフィド結合を還元することでその活性を制御する。これまで、植物では葉緑体内の種々の酵素に加えて、自家不和合性や病害応答に関わるレセプターキナーゼ、液胞型ATPアーゼなどの膜タンパク質の機能が、チオレドキシンで調節されると報告されている。
[目的] 膜輸送体やレセプターなど細胞機能に重要な分子を含む細胞膜から、チオレドキシンと相互作用する分子を網羅的に捕捉し、これらの分子の還元調節機構を生化学的に解析することで、チオレドキシンによる活性制御に共通の仕組みを明らかにすることを目指した。
[方法と結果] シロイヌナズナ培養細胞から調製した細胞膜画分を可溶化し、チオレドキシン変異体固定化担体を用いてスクリーニングを行った。捕捉した分子について、MALDI-TOF/TOF MSを用いた質量分析を行い、シークエンスタグ法で分子種を同定した。その結果、膜アンカー型カルシウム依存キナーゼ、GTP結合タンパク質、ホスホイノシチド特異的リパーゼCなど情報伝達に関わる分子が新たにチオレドキシン標的膜タンパク質候補として同定された。現在、いくつかの候補分子について、チオレドキシンによるレドックス調節の生化学的解析を行っている。その結果と候補分子のリストから、細胞膜信号分子がレドックス制御を受ける生理的意義を考察する。
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© 2007 日本植物生理学会
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