日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
会議情報

紅色細菌Rhodobacter sphaeroidesにおけるペルオLシレドキシンの生理機能解析
*脇田 将裕増田 真二本橋 健久堀 徹太田 啓之高宮 建一郎
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 101

詳細
抄録
多くの紅色細菌は呼吸と光合成という二つのエネルギー獲得様式を酸素や光環境の変動に応じて使い分けている。そのためこの生物における活性酸素種(ROS)の生成は必然であり、その消去機構を発達させていると考えられるが、その機構はまだ不明な点が多い。近年、多くの生物種においてROS消去や酸化ストレスシグナル伝達に関わる因子としてペルオキシレドキシン(Prx)が報告されている。本研究では、紅色細菌のROS消去機構を明らかにすることを目指してR. sphaeoridesのペルオキシレドキシンの生理機能の解析を行った。
ペルオキシレドキシンはその一次構造から4つのファミリーに分類され、R. sphaeorides 2.4.1株のゲノム上にはTypeIIおよびPrxQに属する2つのPrx遺伝子が存在している。これらのPrxを組み換え体タンパク質として発現・精製し、生化学的に解析した結果、いずれもチオレドキシンからの還元力を用いて多種のROSを消去できることがわかった。これらの遺伝子の破壊株を調べたところ、好気条件下においてPrxQ破壊株のみ生育速度の遅延が見られた。また、嫌気条件下においてROS処理に伴う野生株の色素量低下の現象が、ROS処理をしていないPrxQ破壊株にも見られた。このことから、PrxQが主にROS消去を担っており、その機構は光合成色素合成の制御に必要であると考えられた。
著者関連情報
© 2007 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top