日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナにおけるADP-リボース/NADHピロホスファターゼの機能解析
*石川 和也辻 宏一小川 貴央吉村 和也重岡 成
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p. 103

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抄録
Nudix hydrolase (NUDX)はヌクレオシド2-リン酸類縁体に対する加水分解活性を有するタンパク質ファミリーである。本酵素群の基質には細胞毒性物質、レドックス制御物質および種々の代謝産物が含まれるにもかかわらず、それらの生理機能については不明な点が多く残されている。我々はこれまでに、シロイヌナズナNUDXにはADP-リボースおよびNADHピロホスファターゼ活性を有するものが複数存在し(AtNUDX2、6、7)、それらの過剰発現株が酸化ストレス耐性の向上を示すことを示した。そこで本研究では、これらの酵素発現と酸化ストレス耐性との関係を詳細に検討した。AtNUDX2過剰発現株は野生株と比較してNADH量に差は認められなかったが、酸化ストレス下におけるADP-リボースの蓄積が顕著に抑制されていた。一方、AtNUDX7過剰発現株および破壊株では正常/ストレス条件下におけるNADH量がそれぞれ減少および増加していた。また同様の結果は、AtNUDX6においても認められた。さらに、AtNUDX7過剰発現株では、種々の細胞応答の制御に機能するポリ (ADP-リボシル)化活性の上昇が認められた。以上より、AtNUDX2は細胞毒性物質である遊離ADP-リボースのリサイクル、AtNUDX6および7はNADHの代謝を介したポリ (ADP-リボシル)化反応の活性化により酸化ストレス耐性に寄与していることが示唆された。
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© 2007 日本植物生理学会
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