抄録
土壌中のアルミニウム(Al)は酸性条件下では主に3価イオンとなり、植物体の生育に著しい生育障害を起こす。この問題を解決するにはAl耐性機構だけでなく、ストレス応答機構、特にプロモーター部位を中心とした遺伝子発現機構の解析も必要である。我々はAlストレス誘導性AtGST 11遺伝子をモデル系として、Alストレス下での発現応答機構に関わる転写調節因子をコードする遺伝子群を単離し、解析することにした。
まずT7 phageを vectorとしてAlストレス処理した植物体由来のcDNA でlibraryを構築した後、AtGST11遺伝子プロモーター領域(p-AtGST11)との間で蛋白質-DNA結合反応を行うことで(bio-panning method)、候補遺伝子群を選抜単離した。得られたクローンは塩基配列を決定した後、3候補までに絞りこんだ。それらはunknown proteinとRING zinc finger proteinとHD-Leucine zipper proteinをコードしていた。これらの完全長cDNAを得るとともに大腸菌内で蛋白質を合成させ、精製した後にゲルシフトアッセイ法によってp-AtGST11領域と結合することを確認した。
これらの結果は、3者がp-AtGST11領域との結合能力を持つとともにAtGST11遺伝子のAlストレス下での発現調節因子である可能性を示唆した。今後さらにこれらの蛋白質の機能解析を進める予定である。